人獣共通感染症連続講座 第142回追加分

(3/13/03)

バイオテロ防衛(バイオディフェンス)に関する米国研究社会の動き(追加分)


 

バイオテロ防衛(バイオディフェンス)に関する米国研究社会の動き(追加分)

 科学論文の内容がテロリストに悪用されるのを防ぐために、著者、編集者、論文審査員に自主的責任が求められるようになってきた動向を第142回の講座でご紹介しました。研究成果の公開性とテロ防止のための非公開性というジレンマを科学者は抱えることになりました。英国の科学雑誌ニューサイエンティストの2月23日号は、科学が新しい自主検閲の時代に入り、最近、全米微生物協会の雑誌に投稿された2編の論文が内容の修正を要求されたとのニュースを伝えています。その論文のひとつは、毒素の致死性を高めるヒントを含んでいたものとのことです。
 米国の科学記事にはバイオテロリズム、バイオディフェンス、バイオセキュリティーの3つのキイワードがしばしば見られるようになりました。2001年9月11日の同時多発テロを受けて、1カ月あまり後の10月26日には急遽、総括的なテロ対策法が米国議会で成立しましたが、その名前は愛国者法(PATRIOT Act)です。これはProviding Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism(テロリズムを迎え撃ち阻止するのに求められる適切な手段を提供する)の語呂合わせですが、科学の世界にもこの法律の影響が出始めているとみなせます。

 


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